野暮
毎度でがんすー。
このところ、休憩時間はひたすら落語漬けのアイバでありんす。便利なご時勢でありやして、YouTubeでアイバが親しんだ昭和の名人上手の名演を堪能しておりやす。
先に当日記で記した柳朝師匠をはじめ、志ん朝師匠、馬生師匠、談志師匠、小三治師匠ともう、そりゃ贅沢です。
過日の深夜、この話をある都心のバーでいたしやした。するってぇと、臨席にいらっしゃったいなせなお爺さんがひと言。
「おまえさん、黒門町も観てみな」。
この御仁、頭は五分刈り、深夜なのにサングラス。お年はアイバのオヤジよりも上くらいでしょうか。気風の良い江戸弁。べらんめえ調の話しっぷり。
ママさんがこっそり教えてくれたところによると、その筋の元親分さんで、既に引退なさった方とか。背筋がピーンと伸びて、声の張りも抜群。凄みのある目なのに、笑うとすごく優しそうな顔に。昔の侠客、そのまま。
「黒門町とは、桂文楽師匠でしょうか?」
「あたぼうよ」
この御仁、それからおもむろに文楽師匠の完全コピーで「湯屋番」を一席、演ってくださいました。
「俺はな、文楽が好きで寄席をハシゴしたもんだ。インターネットなんてもんじゃなくて、ナマだった」
もー、なんて贅沢なんでしょう。
「おまえさん、どこの生まれだい?」
「はい、新潟の田舎モンですが、江戸前の噺は大好きです」
「そういうことを一々言うんじゃないよ。それが野暮ってんだ」
落語で江戸の職人と田舎の百姓が会話するシーンでありやした。
「おじさん、良いモノを聞かせていただきやした。お銚子一本、いかがですか?」
「べらぼうめ、わけえやつが背伸びすんじゃねぇやい。それが野暮ってんだ」
アイバは落語まで聞かせていただき、ちゃっかりお酒代まで。
おじさん、イキなお酒をありがとうございました。m(_ _)m
これだから、夜の繁華街の徘徊はやめられないのでありんす(言い訳)。
どれだけ回っても、イキに呑めないのはご愛嬌。
お後がよろしいようで。m(_ _)m
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント